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金融ファクシミリ新聞社発行の「ASEAN経済通信」にて、IP BridgeのASEAN戦略の記事が掲載



 金融ファクシミリ新聞社が発行する「ASEAN経済通信 第387号(2016年10月31日)」の「わが社のアジア戦略」の欄において、IP BridgeによるASEAN地域に対する活動が掲載されました。IP Bridgeは、マレーシア政府機関(MDEC)との提携合意を含め、ASEAN地域との連携を強化しており、知財活用をベースとした相互成長の実現を推進しています。

 

(金融ファクシミリ新聞社掲載記事全文)

【知財活用で相互成長実現へ】

 

 300億円に達する知的財産ファンドの運営会社であるIP Bridge(IPB)がアセアンへと目を向けている。2013年に産業革新機構が中心となって設立された同社のミッションは、未活用の知的財産を発掘し、所有者とそれを必要とする主体との橋渡しを行うことでオープンイノベーションを推進すること。アセアンは6億超の人口を誇り、高いGDP成長率を維持しているうえ、現地企業が日本の知財を求めていることを肌で感じたことが、アセアンに注目する理由だ。

 

 日本企業の知財がこれまで海外で活用されてこなかったのは、そもそも企業が自社の知財の価値を把握できていないケースが多いことにくわえ、特に中小企業はどのようなニーズがアセアン側にあるのかを把握することは難しかったためだ。また、企業側には途上国の知財保護が不十分であるため、知財を奪われてしまうという懸念が根強いことも障害となっている。

 

【企業に代わってニーズを把握】

 

 そこでIPBは、日本企業に代わってアセアン側のニーズを把握し必要な知財を発掘するほか、知財保護を懸念する企業に対し、例えば資本提携や合弁会社の設立などにより知財提供先の株式を取得することで、永続的に利益が生まれる枠組みを考案するなどの取り組みを行っていく。IPBの吉井社長は、「これまでは輸出や現地進出で日本は途上国の成長を取り込んできたが、我々は知財の共有で双方が成長する未来を築きたい」と語った。

 

 IPBでは現在シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイの4か国を中心的に取り組んでいる。すでに政府機関と関係を構築して活動を開始しているシンガポールに加えて、マレーシアについても、今年10月3日、同国の情報技術の振興支援を目的とした政府系組織であるマレーシア・デジタルエコノミー社と協力の基本合意書に調印した。マレーシアに注目した理由は、ITで独自の技術を持つ企業が同国で台頭しつつあるほか、新規事業をサポートする金融ビジネスも発達しており、また、日本の特許庁の長年にわたる支援により特許制度のレベルが向上していることだという。

 

 吉井社長は、アセアンで事業を行う上では、資本の論理ではなく、知財の論理を重視する方針だ。資本の論理では、資金力がある主体に知財が集合し、利益を生み出し、より資本力がある主体が富むことになるが、知財の論理では、各主体が相互に依存し、アイディアや技術を共有することで、真のエコシステムが構築され、より革新的な成果が生まれるようになる。また、同社長は、日本企業が選択と集中を行う過程で切り離した知財や、それに習熟したエンジニアの活用にも意欲的だ。同社長は、「切り離しの対象になったからといって劣っているとは限らない」と指摘し、技術が輝ける場所を見つけだしていきたいとの考えを示した。

 

(16/10/31)